【分かりやすい】調剤報酬の仕組みと2020年度改定

薬剤師

1、調剤報酬とは

調剤報酬とは保険薬局において処方箋に基づいて調剤し、患者に投薬する(薬を渡す)までの一連の業務に対して薬局に支払われる対価のことをいいます。調剤報酬点数表によって決まるもので、全国一律で1点=10円です。

調剤報酬(薬局に支払われる対価)は診療報酬(医療機関と薬局に支払われる対価。調剤報酬も含む。)としてまとめて現在2年に1度改定されています。

2、調剤報酬の仕組み

調剤報酬を決める調剤報酬点数表は「調剤基本料」「調剤料」「薬学管理料」「薬剤料・特別保険医療材料料」の4点で構成されています。以下順に説明します。

①調剤基本料

・・・調剤基本料は処方箋受付1回ごとに算定する点数です。病院でいえば初診料(もしくは再診料)に当たります。加算要素には、地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算があります。

②調剤料

・・・調剤料は医薬品の調剤・調合における手間賃のようなものです。内服薬、内服用滴剤、頓服薬、浸煎薬、湯薬、注射薬、外用薬などそれぞれで算定方法が異なります。加算要素としては、一包化、嚥下困難、無菌製剤、麻薬、向精神薬等、時間外、休日、深夜、計量混合、在宅などです。

③薬学管理料

・・・薬学管理料は薬剤師が薬学的知識を駆使して患者を指導した際に付く点数です。患者一人一人の年齢や生活習慣等に応じた指導が必要であり、薬剤師の力量が最も問われる項目と言えます。薬歴管理指導、かかりつけ薬剤師指導、外来服薬支援、服用薬剤調整支援、在宅患者訪問薬剤管理指導、退院時共同指導、服薬情報等提供などが含まれます。加算要素としては、麻薬管理、重複投薬・相互作用防止等、特定薬剤管理指導、乳幼児服薬指導などです。

④薬剤料・特別保険医療材料料

・・・薬剤料とは国の薬価基準で決められている各種医薬品の価格です。特別保険医療材料料とは、例えば糖尿病患者がインスリンを自己注射する際に使うディスポーザブル注射器であったり、寝たきり患者が栄養摂取のために使う栄養用ディスポカテーテルの料金などになります。これらはいずれも基本数十円~200円位のものです。

3、2020年(令和2年)の調剤報酬改定の要点まとめ

保険薬局が受け取る調剤報酬は現場で働く薬剤師が行うさまざまな業務によって決まりますが、その調剤報酬に繋がる評価内容は2年に1度改定される診療報酬の一要素として2020年にも改定されました。主な改定内容を分かりやすく下記にまとめています。

1、かかりつけ機能の評価

  • 重複投薬解消に対する取り組み(処方医への提案など)の評価
  • 調剤基本料の地域支援体制加算の要件を見直し
  • かかりつけ薬剤師指導料の評価の拡充
  • 同一薬局の利用推進

かかりつけ機能の評価に関しては上記のような改定が成されています。近年は医薬分業の大きな意義として、「かかりつけ」というのがとても大事なキーワードとなっています。

1つのかかりつけ薬局そして1人のかかりつけ薬剤師が居ることで患者にとっての利便性は大幅にアップします。例えば、患者一人に対して1つのかかりつけ薬局(薬剤師)が毎回対応することで重複投薬のリスクはほぼ無くなりますし、患者への投薬状態をもれなく把握・管理できます。

また、毎回同じ薬剤師に対応してもらえればコミュニケーションもしやすくなり、薬のことだけでなく健康に関するさまざまなことについても気軽に相談できるようになるでしょう。かかりつけ機能にはこうしたさまざまなメリットがあります。

2、対物業務から対人業務への構造的な転換

▼対人業務の評価の拡充

  • がん患者に対する質の高い医療の提供の評価
  • 喘息等の患者に対する丁寧な服薬指導の評価
  • 糖尿病患者に対する調剤後の状況の確認等の評価

▼対物業務等の評価の見直し

  • 調剤料(内服薬)の見直し
  • 調剤基本料の見直し

近年は、薬局の奥にある調剤室でする調剤業務中心の「対物業務」から、薬局窓口での患者への薬の説明・対応などは元より、患者宅へ出向いて服用状況をチェックするなどの在宅医療への関与が求められる「対人業務」へのシフトが進められています。2020年には上記のような点の評価が見直されました。

3、在宅業務の推進

  • 緊急訪問し、薬剤管理指導を行った場合の評価の拡充
  • 経管投薬の患者への服薬支援を行った際の評価

緊急に患者宅を訪問した場合の評価も拡充する形で見直されました。今後、在宅医療への関与が進むにつれてこの項目の評価も増えてくると考えられます。

4、ICT(※1)の活用

  • 外来患者および在宅患者へのオンライン服薬指導の評価

※1)ICT・・・Information and Communication Technology。情報通信技術。

5、後発医薬品の使用推進

  • 後発医薬品の調剤数量割合が75%の区分の点数は引下げを、調剤数量割合が80%の区分の点数はそのままに、調剤数量割合が85%以上の区分の点数は引上げを実施
  • 後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い場合の減算規定の範囲を20%→40%に拡大(※2)

※2)・・・令和2年9月末までは現行範囲の20%を適用。

後発医薬品の使用推進に関しては上記2点が見直されています。近年は薬局で処方箋を提出して薬を処方してもらう際、患者は後発医薬品(ジェネリック医薬品)の利用を希望するか否かを対応する薬剤師から必ず尋ねられます。

後発医薬品を使用する割合が一部例外を除いて85%以上に上がることで、これまで以上に調剤点数は加算されるようになりました。

6、残薬への対応の推進

  • お薬手帳で分かる残薬の状況に関して、薬局から医療機関への情報提供を推進

お薬手帳を持っていても通常受診した医療機関では患者が医師に見せずに診療を終えることもあるので、処方箋発行後に薬局にて薬剤師がそのお薬手帳を見たり現在の服薬状況や体調などを患者に聞いたりして初めて患者の疑問点や問題点が見つかる場合があります。

これに関して医療機関の処方医に薬剤師がその場で電話等で確認して処方内容を調整するケースがあります。残薬や副作用の有無などについて処方医に情報提供した場合、服薬情報等提供料(通常30点)が算定されます。

参考元: 厚生労働省保険局医療課「令和2年度診療報酬改定の概要(調剤)」

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